【R1第3種】砂礫の運搬過程推定のための新たな分析手法の開発―常磐地域の段丘構成層を基に

担当:

地球環境科学部 助教 宇津川喬子

内容:

2019年度1期は本支援費の採択前に行なった野外調査のデータ整理および採取したサンプル(砂礫)の分析を行ない,科研費申請書に向けて準備を進めた.この予備調査では,研究の軸となる常磐地域南部に分布する砂礫層の供給源の一候補地として常磐地域北部を訪れ,研究に適した好条件の露頭を調査していた.この地域は,研究代表者と同分野の研究者(産業技術総合研究所所属)により,約20年前に地質調査が行なわれていたことから,2019年10月に1泊2日で当地域の調査に同行してもらい,砂礫層の観察地として適した地点を案内してもらった.その際に常磐地域南部に分布する砂礫層の調査地にあわせて赴いたところ,新道路の開発のため,調査地の一部では研究が続けられないことを確認した.この情報は,その後に提出した科研費申請書を書く際に研究内容を見直す上で重要なものとなった.同年12月,10月に案内された常磐北部地域における調査地で観察される砂礫層について堆積学的な見解を聞くため,堆積構造に詳しい研究者(首都大学東京(当時)所属)に1泊2日の調査に同行してもらい,露頭(砂礫層)の観察と記載を行なった.その際には,研究対象である砂礫層の研究を長年行なっているという現地の研究者(近隣の自治体職員)と偶然遭遇し,新たな好条件の調査地を案内してもらった.そこでも同様の調査を行なった.サンプリングした砂礫は現在分析中である.

2019年度の研究活動によって,常磐地域南部で観察される砂礫層の供給源として常磐地域北部が有力である可能性は強まったが,学会発表や論文作成に至るまでの十分なデータは得ることができず,大きな研究成果はあげられなかった.本研究は研究の焦点を絞り,2020年度も継続して行なっていく.