【R1第3種】馬と人の数量経済史――近世日本社会で人口を支えた家畜データの作成とその数量的分析

担当:髙橋美由紀 経済学部 教授

内容:

本研究は、これまでに研究代表者が収集・整理・活用をおこなってきた江戸時代の人口データに、馬の頭数等のデータを中心とする家畜データを加えるデータベース作成の第一歩となるものである。2020年度からは、科学研究費基盤研究(C)「馬とともにあった暮らし――ミクロ史料から全国家畜データを作成する試み」が採択されたため、さらにデータを蓄積し、研究を進めることが可能となった。
研究内容は、近世の各村および各世帯における人口と馬や牛の保有数を、時系列的かつ横断面的に数量的に確認して、産業の在り方に地域による相違や時系列的な変化があったのか、またあったとすればどのようなものかを確認するものである。ミクロレベルのデータから数量的に確認するため、データの入力や整理の作業が必要であり、これをアルバイトを中心におこなった。本年度に入力した人別改帳の内容は、柏市域のデータ(下総国相馬郡下柳戸村、鷲野谷村、箕輪村、五條谷村、大島田村、高柳村、および下総国葛飾郡大室村、正連寺村)および静岡市域(駿河国駿東郡石川村)のデータである。

分析概要の一例として、図1に陸奥国安積郡下守屋村の事例を示す。この村は、天明の飢饉(1780年代)および天保の飢饉(1830年代)の被害が甚大で、幕末に上昇に転じるまで人口が減少し続けた。人口の変動は世帯数の変動と大きく関係していることが図からは推察されるが、馬の頭数は必ずしも同じ動きを示していない。馬は世帯ごとに一頭を飼い農業生産に携わらせたというよりも、良質な馬を育てて市に出していたことが推察される。2019年度の麗澤大学での講演では、これらの結果を一般に講演した。