【H29年度第3種】近世都市の人口と経済   

担当:

経済学部 教授 髙橋美由紀

内容:

●データ作成
2017年度は、2018年度の科学研究費応募のために、データの作成に重点を置いた。原史料(宗門人別改帳)からBDS(ベーシック・データ・シート)という歴史人口学の基本シートに転記したのは、茨城県筑波郡上菅間村および下総国葛飾郡正連寺の史料等であり、現在データ化を進めているところである。

●研究報告と発信
2017年度は社会経済史学会全国大会および日本人口学会全国大会にて報告を行った。特に、日本人口学会では、「人口・家族の地域性:歴史的観点からの都市と農村の比較」という近世から現代までの都市と農村との比較を扱う企画セッションを組み、歴史人口学の重要性を現代に通ずる問題として問いかけた。内容は、以下の通りである。
組織者・座長:髙橋美由紀(立正大学)
討論者:安元稔(駒澤大学)・平井晶子(神戸大学)
1.前近代における人口移動-在郷町郡山と周辺農村の比較-…黒須 里美(麗澤大学)・髙橋美由紀(立正大学)・長岡 篤(麗澤大学)
2.明治中期の関東地方における天然痘死亡率の都市村落間格差 … 川口洋(帝塚山大学)
3.人口と栄養の近現代史―人口食料問題の都市農村比較―…湯澤規子(筑波大学)
今後、隣接他分野の研究者との共同報告を進め、学際的研究として重要性を多くの研究者に認識してもらう必要性を痛感した。
また、自然科学系研究者との共同研究は、総合地球環境研究所における「気候適応史プロジェクト」(プロジェクトリーダー中塚武)で近世史の研究として「気候変動と人口」に関してまとめる作業を行った。日本の多くの地域の人口・家族変動とその要因を確認した。成果は刊行物として2018年度に出版予定である(http://www.chikyu.ac.jp/nenrin/member.html)。