【H30第2種】ナラティヴ・アプローチにもとづく高齢者施設包括的実践プログラムの開発

担当:
社会福祉学部 教授 安達映子
㈱ハーフ・センチュリー・モア サンシティ熊谷 施設管理者 佐藤 英行

内容:
 支援・研修プログラムの総合的開発とナラティヴ・パースペクティヴの検証ならびに具体化という目的に即し、研究計画の通り、支援プログラムと研修プログラムのデザインを行い、実施した。具体的には、支援プログラムとして「人生の木」(ナラティヴ・アプローチで活用される「語り」を促進し共有するためのツール)を使って、施設入居者の個別理解を深め尊厳保持を高めるプログラムを3回にわたる大学生との交流プロセスを含めて実施し、研修プログラムについては、4段階で構成されるナラティヴ・トレーニングをデザインし、これを高齢者施設における多職種のメンバーからなるチームが継続受講した。
 その実践経過については、研究実践施設となったサンシティ熊谷が属する㈱ハーフ・センチュリー・モアの全国研究大会において中間的報告を実施した(2018年9月)。また、研修の実践をふまえ、これを「サポーターズ・ライティング・プロジェクト」という形で汎用性のある対人支援職の力量形成のための研修プログラムに取りまとめ、一般参加者向けの研修としてもその成果を還元した(2018年6月~10月立正大学品川キャンパスにおいて実施)。また、同様の取り組みを行うイタリアのホスピスでの研修にも参加した。
 研究発表としては、次項目の雑誌論文・学会シンポジウムに加えて、2019年5月25日に成果報告公開ワークショップを立正大学品川キャンパスにおいて実施することが決定している。
<意義と展開>
 本研究の意義は大きく2つに分けられる。その1つは、近年注目されているナラティヴ・アプローチについて、これをサービス利用者等への支援と職員の研修の両方に位置づけ、組織全体として取り組むことにおける可能性や効果について一定の検証ができたことである。2つ目は、本研究での実践と成果を土台に、汎用性の高い対人支援職力量形成のための「サポーターズ・ライティング・プロジェクト」という具体的な研修プログラムが形になったことにより、今後これを広く対人支援職(ソーシャルワーカーや医療従事者等)のトレーニングとして活用・展開することが可能となった点である。
 この成果をふまえ、このプログラムを活用した研修への取り組みが、医療法人などの組織で2019年度よりすでに始まっている。