【H30第2種】ヒマラヤ仏教文化圏はいかに形成されたか−河口慧海の事績を手がかりとして−  

担当
立正大学仏教学部 専任講師 庄司史生
立正大学仏教学部 特任講師 佐々木一憲
トリブヴァン大学歴史学科 教授 タパ シャンカル

内容
⑴研究の目的:本研究は、公益社団法人日本ネパール協会と連携し、世界に現存する諸仏教文化のうち、サンスクリット仏教文化圏(ここでは試みに、「ヒマラヤ仏教文化圏」という名称を用いたが、この呼称は再考を要する)の特徴とその意義を明らかにすることを目的とするものである。
⑵具体的内容:本研究について特筆すべき点は以下の通りである。
①2017-18年度「立正大学ネパール研究プロジェクト」の成果をうけたものである点。
②日本ネパール協会、またトリブヴァン大学シャンカル・タパ教授との共同研究である点。
③連携研究者である佐々木一憲講師とともに、2018年6月16-17日にネパールのAksheswar Mahaviharaで開催されたSecond International Conference on Academic Buddhism, Buddhist Practices and Environmental Concernへの招待をうけ、講演を行った点(詳細は後述)。
④また研究代表者は公益財団法人中村元東方研究所による「平成30年度公益財団法人中村元東方研究所アジア諸国海外研究・調査助成」の助成をあわせてうけた点。
⑤上記ネパール出張では、講演発表の他、震災後のトリブヴァン大学図書館におけるサンスクリット仏教写本の保存状況の調査、またゴールデンテンプルにて営まれる仏教儀礼に関する調査を実施した点。
⑥当該の出張時に、立正大学とトリブヴァン大学との間で締結予定の協定書(その後締結)の最終調整を行った点。
⑦2018年12月13日(木)放映の「ザ・プロファイラー~夢と野望の人生~『玄奘三蔵 史上最強の僧侶』」(BSプレミアム放送)に編集協力を行った点。
⑧2018年12月2日(日)、上記出張に関連し、研究代表者は第19回東方学院・酬仏恩講合同講演会(法相宗大本山薬師寺)にて「神と仏の国 ネパール」と題する講演を行った点。
⑨本研究の成果として報告書『ネパール仏教再考―ネワール宗教文化の視点から―』を、ネパールの印刷所より発行する予定である点。
⑩今回実現した日本ネパール協会との連携をうけ、同協会が編者となり明石書店より出版が予定されている『エリア・スタディーズ~ 現代ネパールを知るための61章』(仮)の原稿執筆依頼を受け、原稿を執筆中(2019年12月刊行予定)。
⑶研究の意義・重要性等:後述の通り、本研究は単年度の研究期間の中で数本の論文の公表とすることができ、さらに上記⑩の通り次なるステップを確保することができた。これは、前年度まで行われていた「立正大学ネパール研究プロジェクト」からの研究の蓄積があったことによる。本研究の目的達成のために、日本とネパールの共同研究による学術交流は意義深く、今後も継続されるべきものと考える。