【H30第2種】発達障害児における運動訓練による社会性発達に関する研究 

担当
法学部 特任講師 小山啓太
ノーザンアイオワ大学 教授 マーク ヘコモビッチ
セントラルミシガン大学 教授 ジュディ チャンドラー

内容
本研究により、子どもが興味を示すボールすなわち工夫した学習用具を用いることが一つのきっかけとして、発達障害児および発達性運動協調障害児におけるボール投げ運動への興味関心を高める可能性を示したことは、学校や家庭での子どもの積極的な運動の促進と体力向上に関する一つの施策として、さらに研究を深めることの意義を感じる。また、本研究で使用した楕円形ボールによる投運動や握るなどの体力向上の運動において、子どもたちが大いに笑い、不規則に跳ねるボールを追いかけ走り、楽しく運動に取り組み、その中で運動の量的・質的改善が認められたことは、運動を楽しみながら知識と能力を伸ばす一定の効果があったと示唆する。さらに、運動によりコミュニケーションが促され、言語学習や知的活動に好影響を及ぼしたことは、発達障害児・者への運動療法の一つの手法として、今後さらに研究を進める意義を感じる。
一方で、健常発達児を含め、子ども全体の投の運動能力や体力が低下し、ボールを力いっぱい投げるといった外での遊びが減少している現状では、安全な環境の確保、正しい指導や仲間の確保、遊びや授業として成立する手法など、検討しなければならない課題は多く、引き続き、さまざまな環境下における楽しいボール運動と効果的手法について、子どもが興味関心を高め積極的に運動を体験し、感性を伸ばし、体力を向上する有効な施策について研究を続けることが必要であると考える。