【H30第3種】異なるコンテクストを持つ消費者に対応した「日本型サービス」のあり方と海外移転に向けた適用研究

担当

経営学部 教授 浦野寛子

内容

平成31年度の科研費獲得に向けて、「日本型サービス」に関する研究を進めた。
具体的には、「おもてなし」について調査研究した。 
 東京五輪の招致委員会のプレゼンで「おもてなし」が話題になったことにより、日本的な他者への配慮を言い表す「おもてなし」が、世界に向けた立派な「商品」になることが証明された。しかし、こうした日本文化に基づく「おもてなし」概念やそれを構成する要因は、明確にされておらず曖昧なままであった。「ホスピタリティ」に関しては、欧米を中心に研究が多く蓄積されている。一方で、「おもてなし」の定義や構成要素について議論している研究は少なく、概念や理論の構築や発信があまり行われていない。「おもてなし」は日本独特なもので文化依存性が高いにもかかわらず、欧米で構築された分析枠組みや概念、尺度などが借用され、文化的に異なる日本のサービスにそのまま適用されることも多い。そうした状況の中で、近年、「おもてなし」をキーコンセプトに海外展開しようという動きも盛んに見られるが、「おもてなし」概念やその構成要因が不明瞭な中、それをどうやって具体的に海外の人々に伝え、ビジネスにつなげていけばいいのか理論的・実践的研究成果、示唆が求められていた。そうした中で、本研究においては、「おもてなし」の源流を辿り、また「ホスピタリティ」と「おもてなし」概念を比較する中で、「おもてなし」概念の独特の要素をまとめた。「おもてなし」を構成する要因の抽出・体系化については、「おもてなし」要因の抽出として、文献調査、企業へのインタビュー調査等を行った。
 科研費採択に向けて、以上のような準備段階となる調査・分析を行った。これにより、申請に向けて、研究目的や研究の学術的背景を執筆するにあたり、エッセンスを凝縮し簡潔かつ具体的に明記することが可能となった。(結果、本研究を発展する形で平成31年度の科研費基盤Cに採択された。)