【H29年度第2種】当事者研究と哲学対話によるものづくり研究 

担当:

文学部哲学科 教授 田坂さつき
株式会社アース 代表取締役社長 佐塚みさ子
オーシャンブリッジ・マネジメント・ジャパン株式会社 代表取締役社長 江口・ベーコン・昌子
湘南工科大学 専任講師 木村広幸

内容:

平成29年度福祉ものづくり製作品は、人文科学研究所の助成を受けてITP-SLで製作したALS患者特有の肢体の違和感を軽減するマッサージ機「ほぐすんです(後にひとごこちと改名)」の改良、重度の障がい者のための楽器製作。製作については、湘南工科大学の木村研究室の協力を得て、製作指導はALS技術ピアサポータ久住純司氏に依頼し、ALS患者や社会福祉法人訪問の家、NPO法人ICT救助隊にも協力を求めた。
7月22日には、「難病・重度障害者支援福祉ものづくりミニシンポジウム ものづくり✕福祉✕地域」をALS技術ピアサポータ久住純司氏をお招きし、社会福祉法人訪問の家(横浜市栄区桂台)で実施し、久住さんの講演、障害者支援ものづくりに関する講演や学生の制作発表、地域住民と施設職員や学生によるもの福利カフェを実施した。
9月には、ルーマニアからカルメン・コズマ教授を招聘し、立命館大学先端研「生存学」との研究香料を行う一方、立正大学と大阪大学で講演をし、大阪大学では、福祉ものづくりの制作発表や学生の卒論中間報告を行った。さらに、和歌山のALS患者宅(林靜哉さん宅)を大阪大学関係者、コズマ教授と学生とで訪問し、哲学対話を実施した。さらに、ALS技術ピアサポータ久住さんとは「ほぐすんです」の制作についての打ち合わせを行った。
12月2日に、立正大学で、「難病・重度障害者支援福祉ものづくりミニシンポジウム」を実施した。そこでは、株式会社アース取締役社長佐塚みさ子氏と副社長舩後靖彦氏による、全身麻痺でも弾けるギターの演奏と製作についての講演があり、立正大学、湘南工科大学、東京高等専門学校の学生たちの福祉ものづくり製作報告と質疑応答を行った。さらに、企業による福祉ものづくり報告として、企業における福祉ものづくり日立ケーイーシステムズ岡高志氏と病気の後遺症から重度障害者になられ、コミュニケーション支援機器利用者である山中敏彦さんの講演も実施した。
更に平成30年1月には「ALS患者さんから聞く会」を実施し、3月には、関西でのALS合宿を実施し、さらに社会福祉法人訪問の家で平成29年度のものづくり報告を施設職員の前で行い、成果と反省点を確認した。
以上大変充実した研究であったが、年度末まで、シンポジウムや報告会などの開催に追われ、その研究成果報告としての発表や紀要などの執筆は次年度とした。