【H29年度第2種】災害支援業務と連携した防災リテラシー教育カリキュラムに関する実践的研究

担当:

地球環境科学部 教授 後藤真太郎
防衛医科大学 准教授 秋冨慎司
株式会社日本防災デザイン CEO 熊丸由布治
杉戸町役場住民参加推進課 課長 萩原勝典

内容:

日本の社会の単位、家族、町内、校区、「住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織」(災対法第5条第2項)としての自主防災組織、5人組などに代表される隣保組織などで成り立っている。これらが、防災基本法を拠り所にして、都道府県防災会議(会長:知事) 地域防災計画市町村防災会議(会長:市町村長)、地域防災計画で規定されており、複数の境界線で区切られた地域が一つの組織のように行動することを困難にしている。
これを解消するのがICS(Incident Command System)であり、先進国ではどの国でも導入され、アメリカではCERT((Community Emergency Response. Team、日本の自主防災組織に相当)でも導入されている。しかしながら、ソーシャルキャピタルのガバナンスが主となる日本では指揮系統の統一、災害情報の一元化を行うための課題は、災害の度に議論され、指揮系統の統一、伝達様式の定型化が問われており、内閣府では「災害業務の標準化」としてまとめられている、具体的なことが書かれていない。
本研究の教育対象をNPOとしている。阪神淡路大震災から災害情報後方支援の経験や協働型災害訓練(2014年から毎年開催)での知見をベースに教育カリキュラムとしてまとめ、3回の防災リテラシー教育セミナーと関連するセミナーを通し、ICTを援用した災害情報後方支援、災害支援業務の連携ができるような仕組みづくり、研修用テキストを作成し、その成果は第5回協働型災害訓練(2018年2月2-3日)において確認した。
本研究で作成した教育カリキュラムの項目は以下の通りである。
・ICSの基礎講習
・災害情報後方支援ワーク
・ボランティアの運営ワーク
・実働訓練・組織間の連携指導ワーク
・平時のBCPとの連携ワーク
・協働型災害訓練の企画・運営
 本研究の成果は、日本的なICSの姿を見据え、「関係機関が災害時に行うべき事、事前に準備できることは準備すべきである」といった考えに立っている。この成果を利用し、訓練を積むことにより、災害時に参集するNPOのSOP(standard operating procedure:業務仕様書)を事前に作成し、災害対策本部の管理の元で災害支援業務が重複なく行われることを目論んでいる。これらの成果を利用し、次年度以降定常的に訓練の組織をセミナー、訓練の母体を一般社団法人化し、防災リテラシー教育セミナー、協働型災害訓練が全国で開催できる母体を構築することになっている。