【H30年度第3種】三沢市寺山修司記念館所蔵資料から考察する初期寺山修司の創作の秘密

担当:

文学部文学科日本語日本文学専攻コース 准教授 葉名尻竜一

内容:

今回の研究プロジェクトのメンバーは、久慈きみ代(『編集少年 寺山修司』2014)、小菅麻起子(『初期寺山修司研究』2013)、堀江秀史(編著『ロミイの代辯 寺山修司未収録作品集』2018)、広瀬有紀(三沢市寺山修司記念館 学芸員)、葉名尻竜一(『文学における〈隣人〉―寺山修司への入口』(2018)の5名。研究の発案者で統括係は葉名尻。
記念館所蔵の資料は、所有者であった母はつから寄贈されたのものだが、寄贈時点での整理が不完全であるため、研究においては利用しづらい状態にある。その資料を学芸員と研究者とが協働で再整理しつつ、資料的価値を再確認すると同時に、寺山修司研究の未踏査の領域を照らして、新たな研究を立ち上げる目論見で発案されたプロジェクトである。
第3種研究費を使い、まずは、資料の権利をもった記念館の許可と、寺山修司を専門とする研究者との賛同を得るために、2018年8月5、6日と青森県三沢市にある記念館を訪問した。無事に許可がおり、学芸員の広瀬と堀江との協力を得られることになった。次に同経費で、2018年8月26、27、28日と、そのとき青森大学教授であった久慈を訪問し、プロジェクトの重要性を説明したところ、理解を得ることができたのでメンバーに入ってもらうことになった。2018年6月に名古屋で開催された国際寺山修司学会で、静岡在住の小菅には打診をしていたので、記念館と他のメンバーの許可とを伝え、確約を得た。
プロジェクトのメンバーが東京、静岡、青森に在住しているため、会合が難しいが、2019年3月16日に東京芸術劇場で上演された寺山修司作「毛皮のマリー」観劇を機にメンバー全員で会し、プロジェクトの確認と科研費申請のための研究目的、経費、公表の方法などを文書で確認・議論をした。この時期を選んだのは、東京芸術劇場の上演メンバーに記念館資料の関係者(「TERAYAMA WORLD」)がいたためである。
記念館資料は膨大なため、そのすべてを今回の科研費申請内で処理することは出来ない。そのため、現在は、各メンバーがプロジェクトの目的に合わせて、自身の調査と研究と精査している段階である。葉名尻は、2019年6月22日に前橋文学館で開催される国際寺山修司学会で個人研究発表を予定しているが、その研究成果はプロジェクトを内容的に支えるものである。
(研究の新しさをもっとわかりやすくするために、研究課題名の表現を思案中。)