【H30年第3種】障害のある若者のライフコースと支援に関する研究―社会的養護の経験者を中心に― 

担当:

社会福祉学部社会福祉学科 准教授 新藤こずえ

内容:

社会的養護を経験した障害のある若者は、18歳以降もライフコースを通じた支援を行う必要があるが、そうした仕組みは不十分であるため、早期に就労による経済的自立が迫られている現状がある。高校卒業後の進路として、一般就労であれ福祉的就労であれ働かせるための支援には限界があり、若者らしい生活を必ずしも保障することにはつながっていないのが現状である。こうした現状を乗り越えるものとして教育年限を延長した学びの場づくりがある。
センター支援費によって、先進的な取り組みを行っている「社会福祉法人 麦の芽福祉会」(鹿児島県)の視察とインタビュー調査実施することができた。「ゆりかごから墓場まで」をテーマに、乳幼児期の療育から学卒後の学びの場として福祉型専攻科・大学の設置や、高齢化した親も含めて入居できる福祉ホームの開設、親亡きあとの子どもの「看取り」も含めた支援を事業として行っている。「ユーススコラ鹿児島」は、「青春を謳歌して自分づくり」を掲げた福祉型専攻科・大学である。どんな障がいがあっても高等部教育で終わらせることなく、教育年限を延長して青年期を豊かにするために2017(平成29)年に開設された。セルフマネジメントコース(自立訓練(生活訓練)事業、修業年限2年間)とライフプランニングコース(生活介護事業、修業年限4年間)が設置されている。こうした実践は教育保障の1つの形として注目されているものの、社会的養護を経験した障害のある若者の退所後の進路の選択肢にはなっていないのが現状であり、こうした資源も含めて退所後のサポートのあり方を検討する必要があることが示唆された。
 次回の科研費採択に向けて、昨年度まで研究期間を延長して取り組んだ「社会的養護における障害児者の支援に関する研究-ライフコースの視点から-」(挑戦的萌芽研究)の研究成果を出すことが必要であると考えている。