【R1第5種】学生への音楽教育指導プログラムとペアレントプログラムの実証的研究― 子供の社会性の促進を目指して ―

担当:
板野晴子 社会福祉学部 教授
渡邉孝継 立正大学社会福祉学部(R.2年3月迄)/星美学園短期大学 助教(R.2年3月31日迄)/専任講師(R.2年4月1日~現在に至る)
長谷川美穂 立正大学子育て支援センター「ベアリス」 立正大学子育て支援センター「ベアリス」チーフ

内容:

<具体的内容>
・事前ミーティング全3回
(スタートアップミーティング、中間ミーティング、最終ミーティング)
学生同士で話し合い、子育て支援センター「ベアリス」で行う「リトミック」ということで、本研究活動を「リトリス」と呼ぶことに決定した。学生自らチラシを作成し、子育て支援センターで参加者を募った。

・実施日およびプログラムテーマ

・事後ミーティング全3回
(親子の感想の伝達と振り返り、記録の確認、自身の卒業論文への継続性の検討)

<意義・重要性>
現在、不登校や引きこもりが社会問題となっている。これらを防ぐために,他者と円滑に関わるための社会性が必要となる。子供の社会性を促進する方法として,子供が他者とのコミュニケーションを楽しむことのできる機会を設定することがあげられる。この点は,保育士養成課程を持つ大学で「環境構成」として扱われている。
いっぽうで,保育士養成課程の学生は,この「環境構成」を行うことに苦慮することがある。特に,音楽教育場面では,楽典(いわゆる音楽についての座学的知識)の理解力や、高度な楽器演奏の技術が求められてきた。そのため,学生は楽器を正確に演奏することに集中してしまい,子供がコミュニケーションを楽しめるような環境構成や関わり方に注意を注ぐことが困難であった。そこで本研究においては,子供が他者とのコミュニケーションを楽しむことのできる環境構成や関わり方に関する技術や知識を学生が獲得することを目的とした。
本研究は、学生の音楽の技術的向上を目指すものではない。子供の社会性を促進するために,学生が実際に親子の参加するリトミックを実践することにより,子供が他者とのコミュニケーションを楽しむことのできる親子への適切な環境構成や関わり方を学ぶことに意義がある。先行研究においては,近年教育学的な立場から検討されるようになっているものの,日本では学生が子供の社会性を促進する音楽教育を展開可能になるための指導プログラムは見当たらない。このようなことから、学生が、子育て支援センターを利用している親子を対象にリトミックを行うことは、学生の教育的能力の伸長と、保育力の伸長という観点からも重要な活動である。またリトミックは,子供が他者と円滑に関わるための社会性が促進されるため,引きこもりや不登校を防ぐ一助となる。親子の触れ合う機会を設定できるという点においても,社会的意義が高いと考えられる。
立正大学社会福祉学部子ども教育福祉学科では,音楽の授業内において学生がリトミックを学んでいる。その結果,幼児教育の現場では,学生達が自信をもって音楽活動を行っているとの報告もなされるようになってきた。この特色ある取り組みを,学内の子育て支援センター「ベアリス」の利用者親子を対象に実践する試みは,これまでも行ってきており,実績がある。ただし、その内容については、授業者が提案・指導したものにとどまっている。

<研究方法>
本研究は研究実施者による学生への助言は極力行わず、学生自身に子供を対象としたリトミックの計画・立案・実践の機会を持たせた(独立変数)。実際にリトミックに参加する親とその子供を前にして、親子への適切な環境構成や関わり方を継続的に考察させることにより、学生のリトミックを通した実践力を向上させ,かつ子供理解,保護者理解を深める(従属変数)ことを主眼としたものである。